「着ぐるみ感」に極限までこだわったシリーズで、このサイズのエレキングとしては間違いなく最高峰の出来だ。ややもすると白一辺倒になりがちなエレキングの体色だが、黄色と灰色の程よい汚し塗装で、実に深みのある色合いを出している。アンテナ角の質感やクリア素材を使った口、そして背面を覆う斑紋の尋常じゃないこだわりようは、それまでのエレキングフィギュアには無かったアプローチで、まさにこのシリーズに冠した「究極」の名に相応しい。劇中では操演によって動かされた長い尻尾も、ご覧のとおりの躍動感だ。が、その躍動感がともすれば活き活きとした生物感につながってしまい、糸で吊られた「操演感」を却って逆に殺いでしまっているとも言える。だがそうであっても、これが傑作であることは毛も揺るがない。
エレキングのフィギュア化にあっては、長い尻尾をどう処理するかが課題で、この箱入りブリスターのシリーズではご覧のとおりの処理だ。過剰にくねらすことでコンパクトを図り、しかも見た目の長さは損なわずに、尻尾を前に持ってきているという斬新さまで見せつけている。「箱入り」という制約が、却って良い方に作用した成功例だ。彩色は白いエレキングを強調。湖からあがったばかりは確かに美白なのだが、もうちょっとニュアンスが欲しかった。このシリーズでは、バルタン星人やウインダムなどの傑作もあるのだが、「台座」という発想がそもそも要らない。足裏の凸が、フィギュアの出来栄えを損ねている。
2002年に出たもののリペイント再発。汚れ塗装が過剰になり、汚い印象になった。リペイントは、「更なる向上」を標榜しているのではないか?この弾では他にバルタン星人やグドンなど、リペイントで却って悪くなったものがあった。尻尾のコンパチはなくなり、だからこそ同弾にアソートされたセブンのポーズの意味が分からない。
初めて買った(回した)HGがこれ。200円カプセルの中にギュウギュウに詰まった長い尻尾と、カプセルを手にしたときのずっしり感は、間違いなくHGシリーズ原体験だ。「まさに...これは本物だ!」って煽りは、伊達じゃあなかった。体表のシワは着ぐるみ感を表現し、このサイズでそれをやろうとしたことに素直に感動。うっすらレモンイエローがかった彩色も心憎く、本シリーズに対する意気込みと愛情が伝わる一品だ。ただ腕の合わせが悪かったのが難だが、それも再販時には改善されていった。
1995年に発売されたものの、四回目のリペイント再発。『バンダイガシャポンEXPO2000』で発売された。白を強調した彩色に、変更が見られる。しかしこうして見るとエレキングは、主人に忠実なポインター犬みたいだ。
アイボリーの成型色が、良い具合な色合いを出している。ほどよい尻尾の長さ、全体的なフォルム・造型、ホルスタイン柄の再現、いずれもソツのないまとまりようだ。首長怪獣特有の前傾姿勢も、横から見た見事なS字ラインで納得。太目なアンテナ角が気になるが、ソフビだからそれは仕方がない。
セブンへの尻尾巻きつけ攻撃シーンを再現。が、実際の劇中ではエレキングとセブンは向き合っておらず、HG31弾のように縦に並んだ形となる。しかも肝腎の巻きつけが緩い。それでもひとつのジオラマベース上に、巻きつけを再現しようとしたその果敢さは評価に値しよう。木曾谷渓谷の樹木の表現は、なかなか良い感じだ。造型・彩色ともに稚拙だが、98年当時としてはまあこれぐらいが関の山か。
昭和当時に人気を博した、大伴昌司のイラストによる『怪獣解剖図解』の立体化。人気怪獣商品が飽食期を迎えると、こういう珍品が出て来るという好例だ。ただ古くさい絵のままでは売る自信が無かったのか、イラストそのものを開田裕治に「再現」させている。その辺の中途半端さが、シリーズ化に到らなかった理由だろうか。値段も高価だったし。造型が良いので「内臓を剥き出したりせずに、別にこのまま普通に出しても売れるのでは?」とは思うが、やはり“ただの”エレキングでは出す意味も無いのだろう。
映画『ウルトラマンコスモスVSウルトラマンジャスティス』公開に先駆けて発売。ボトルキャップから大きくはみ出た尻尾にはそれなりの手応えがあり、何とも嬉しい量感だ。小さくまとまりがちなボトルキャップ・フィギュアでも、怪獣物ならば是非こうあってほしい。