“白銀の城”の如きメタリックな身体髪膚を晒すウインダムは、さながら軟鉄ないし錫のよう、「躍動する鋼鉄」とでも言おうか。怪獣造型を追求すべく“究極”を冠に掲げた本シリーズのウインダムは、全体的なフォルムから細部に渡るディテールまで精緻に造り込まれ、なるほど一分の隙も無い模像を顕現させていると言えよう。フクロウに着想した鳥人顔は健在で、目と頬におけるアンテナ状の突起は一体成型にせず、購買者自らが取り付ける別パーツとして独立させ、精巧な形状の鋭利さを優先させた。またサイド・ビューに回れば、ローマ兵士の甲冑を髣髴とさせる独特のシルエットが立ち顕われ、劇中の雄姿にはたと行き当たる。鶏冠や眼窩に施されたスジ彫りや、工業製品のビス穴のように打刻され頸部と四肢を囲繞する孔・孔・孔。これら巧緻で過剰なディテールも、このスケールで漸う活きてくるというもの。殊に“着ぐるみ感”に拘泥った随所のシワ寄りは執拗を究め、玩具枠内におけるウインダムものの中では群を抜いて孤高をひた走っている。だがこの「シワ寄り」への忠実なアプローチが、却ってメタリック・ボディの硬質感を殺いでいるのも事実だ。特に咽喉部と膝関節部のそれは、演者と被服の間に生じたダブつき、すなわち肉余り以外の何物でもなく、「柔軟な鋼」の意趣からは程遠い。良く出来たウインダムなのに、何処かしらシャープさに欠ける印象を受けるのは、そのことに来由するのかも知れない。そして塗装された「鈍色の銀」が、この“なまくら刀”を更に錆び付かせている。「白銀」における「白」の強調、そして金属表面の擦過表現。これを果たせればまさに“アルティメット”の完遂、銑鉄から錬鉄へと鍛え上げられるのだが。
このウインダムは同シリーズのバルタン星人とともに、造型・彩色・細かいディテールなど、プライズ物のフィギュアの中では申し分のない出来である。メタリックな体表に施された、擦過表現を意匠とした塗装も、さほど自己主張せずに巧い具合だ。2007年に『ウルトラマンメビウス』版としてのウインダムのフィギュアが、クオリティも高くHGやソフビ人形で発売されたが、それはあくまでも「メビウス版ウインダム」の話。昭和の「オリジナル・ウインダム」では、このフィギュアをマストとしても良いくらいだ。それだけに、台座と、台座のために施された足裏の凸の存在が惜しまれる。
『Bot-Biz』のボトルキャップシリーズ。ウルトラの第2弾にウルトラセブンが登場。ウインダムの夥しい孔々を、逐一再現しようとした意気込みは買う。だが如何せんボトルキャップ・サイズ。黒く塗装された孔々が、汚れに見えて仕方が無い。