冷凍怪獣  ペギラ


第5話 「ペギラが来た!」
第14話 「東京氷河期」

 画像にマウスを載せると別の一面が見られます。
   画像をクリックするとスケッチに移動します。

ポリストーン製スタチュー 塗装済み完成品
浪漫堂 1996年


 “ポリストーン”なる当時まだ目新しかった素材による、リアル造型のウルトラ怪獣シリーズ。最初にラインナップされた5体うちのひとつが、このペギラだ。本シリーズでは「ひとつひとつ手塗りによる丁寧な仕上げ」を謳っていたが、これはそれが良い方に作用している。手塗りによる粗野な筆致は、却ってペギラのゴワゴワした険しい皮膚の質感表現には適しており、「悠久の時」さえ感じさせる極洋の住人の姿を、そこに顕現させていると言えよう。白色を擦れさせるように表面塗装した皮膚には、下地に塗られた重厚な緑色やベージュ系の色彩が浮き出ており、何とも言えない深みのある味わいを放っている。またほかには、側面から見たペギラ特有のシルエット、翼のヒダ、身体を覆うフジツボ状の突起物など、随所に丁寧な作りが施されおり、好感が持てる仕上がりだ。難を言えば、ベタ塗りされた口腔内の稚拙表現であろう。突き出た2本の牙の見事さとのギャップが際立ち、唯一惜しまれる点だ。だがそれでもほかにラインナップされた4体(ゴメスリトラゴローナメゴン)の中では、出色の出来栄えであった。


『開田裕治ART WORKS COLLECTION』
シリーズ 5
メガハウス 2006年


 南氷洋をゆく砕氷船・鷹丸に襲いかかろうとするペギラ。「開田裕治の迫力あるイラストを立体化」。これを標榜した本シリーズはしかし、精緻な作り込みとは裏腹に、弾を重ねるごとに全体のスケールが矮小化の一途をたどっていった。結果、肝腎要の「迫力」が殺がれている。だがペギラのフィギュア自体の出来は良く、造型・彩色ともにこのスケールでは出色だ。また白色系のペギラに対して、前面にオレンジも鮮やかな船を配した構図は、強烈なコントラストを放っている。荒れる氷洋とそそり立つ氷柱も「活きて」おり、だからこそ殺がれた「迫力」が惜しまれるのだ。

『HGウルトラマン』シリーズ
怪獣ベストセレクション
LOT:凹3
バンダイ 2002年


 1998年に発売されたもののリペイント版。前回のものがベージュ彩色だったのに対し、こちらは色合いに複雑な深みを出そうとした意趣が読み取れる。だが結果的には、厭味ギリギリの黄土色の仕上がりとなった。つくづくペギラの表皮再現の困難さを痛感するものであり、高山良策の神技とも言うべき仕事に改めて敬服させられるであろう。

『HGウルトラマン』シリーズ PART.16
ペギラが来た!!編
LOT:凹4
バンダイ 1998年

 カネゴンケムール人に続き、待望のQ怪獣HG化第3弾でペギラ登場。発売当時は『ガイア』が放映されていたが、本弾のタイトルではあくまでもペギラが主役であることを示唆している。ペギラらしい寝惚けた表情やフジツボ状の突起、また穿たれた空気孔などに、HGスピリットが感じられよう。だが難はベージュを基調に白のブラッシングを施した塗装で、それだけでは少ない色味だが深みのあるペギラの体表にはなかなか及ばないようだ。

『ウルトラ怪獣名鑑シリーズEX
ウルトラパノラマファイト』
ラウンド1
バンダイ 2006年

 名鑑シリーズの暴挙とも言うべき脱線企画。チャンドラーとさえ戦わなかったウルトラマンとの夢の対決で、『激闘!東京大決戦!!』と銘打たれた。零下130度の冷凍光線による瞬間凍結の瞬間を捉えた迫力ある造型と、なぎ倒された東京タワーに胸躍る。だがペギラの濃いブラウン彩色には、極洋の生物としてのイメージは無く、むしろ着ぐるみ改修後のチャンドラーの色合いに近い。「東京氷河期」の外伝として、想像力を逞しゅうして楽しむべし。


『新タイムスリップグリコ』
シリーズ 第3弾
グリコ 2002年


 極洋の厚い氷を突き破って出現したペギラが、今まさに船舶に襲いかからんとしている瞬間を竹谷隆之造型で再現。生物感と躍動感溢れるアレンジは、コンパクトながら「カッコいい」のひと言に尽きる。またこれがグリコのおまけとしたところに、嬉しさもひとしおだ。

『REAL MASK MAGNET COLLECTION
リアルマスクマグネットコレクション』
シリーズ ウルトラセブン
バンダイ 2008年

 頭部だけの怪獣生首フィギュア。その第2弾・ウルトラセブン編のシークレット・アイテムとして、『ウルトラQ』のペギラが登場。これはそのカラー版で、ほかにもモノクロ版がアソートされた。コンセプトとして当たり前のことだが、「顔」の造作再現にのみ拘泥っているだけあって、造型はガレージキットの域。海棲哺乳類特有の張り出した鼻面や、それに伴った口腔内の深さなどは、これくらいのスケールでなければ味わえないような量感に溢れる。また象牙を髣髴とさせる左右一対の歯牙にあっては、尖り具合と反り塩梅に惚れ惚れ、名刀に相対する神妙さに身も引き締まろう。大袈裟だが。しかしこれが首だけのフィギュアなので、背面のマグネットを以って部屋の壁面に設置・掲揚すれば、牙を含んだ形象の見た目も手伝って、猟人自慢の剥製がそこに立ち顕われる。嗚呼、生殺与奪を許されし野生の刃...と言っても、また大袈裟か。さて彩色についてだが。下地の黒ずみ、それに被せたベージュとの絶妙なハーモニーが、ペギラ独特の名状し難い風合いとして見事発色。が過度に鮮烈な赤は、大きく穿たれた口腔内を汚濁するだけで、牙と角における塗装の中途半端さに、折角誂えの三日月も泣いている。これのハイライトは、何を置いても一対の牙。なれば“静謐なる月光のペイル”が、是非とも欲しかったところだ。中途で寸断されてしまった背面の空寒い断崖と併わせて、寂寥感も一入。造型と彩色の不均衡さは、原油高趨勢における時局にも起因か。


『HGブルマァク魂』シリーズ 1
バンダイ 2001年


 昔懐かしいブルマァクのソフビ人形を、ガシャポンサイズで再現。ブルマァク・カラーリング版。ブラウンの成型色はペギラのイメージとは程遠いが、メタリック・ブルーの噴き付けが鮮やかに映える。また安定感のあるどっしりとした下半身やデフォルメされたすっとぼけ顔など、おもちゃとしての味わい深さは懐古趣味を差し引いても愛らしい。


『HGウルトラマン イマジネイション』
シリーズ Part.3
バンダイ 2004年


 『ウルトラマン』第37話「小さな英雄」より、デパートに出現したピグモンのイマジネイションに付属したもの。劇中でおもちゃ売り場に陳列されたブルマァク人形のペギラ、それの再現である。極小のペギラが、何ともかわいらしい。是非とも、ブル魂版のペギラと並べたいものだ。


食玩ソフビ 詳細失念
バンダイ


 ベージュの成型色にサッとひと噴き、銀のアクセントが効果的。胴体のフジツボ状の突起物や翼の皺など、丁寧な造りは好感が持てる。特に顔の造型には苦心の痕跡が窺え、チープな作りながらもそこにあるのは確かにペギラの顔だ。バルタン星人キングジョーなど当たり前のラインナップの中、このペギラのセレクトは感涙ものであった。

 画像にマウスを載せると別の一面が見られます。
   画像をクリックするとスケッチに移動します。
inserted by FC2 system