古代怪獣  ゴメス ~ 『ウルトラQ』 第1話 「ゴメスを倒せ!」

古代怪獣ゴメス、現代に咆える!

  東海弾丸道路第三工区の北山トンネル工事現場で発見された地下大洞窟より出現。古代哺乳類の末裔で、学名を“GOMETIUS(ゴメテウス)”と称する。新生代第三紀(約1500万年前)頃に棲息したとされる肉食の哺乳類で、胎生の変温動物だ。原獣亜綱と真獣亜綱、どちらに属するのかは不明。だが原始的哺乳類であることと、蹠行性と鉤爪の具有から推して、前者、しかも単孔類(現生種で言えばカモノハシの仲間)である可能性も捨て切れない。永らく冬眠状態にあったが、地殻変動による地下の温度上昇で目覚めた。第一発見者の工夫がアルコール中毒だった為、当初その目撃証言は一笑に附される。洞窟内の探索にあった万城目と由利子が落盤に遭い、出口を塞がれ立ち往生しているところへ鉢合わせ。逃げる彼らを執拗に追い立て、そのままトンネルの出入口を崩して地上に出現、漸う巨躯の全容を露わにした。尚、カメラのフラッシュなどの強い光を嫌う性向有り。また、万城目らが窟内でコウモリの死骸を発見しているところから、それを常食していたと推察される。性格は極めて凶暴。前肢の異常に発達した鋭く頑健な三本の爪で地中を掘り進み、坑外に出ては長い尻尾で工事用資材やプレハブ小屋を薙ぎ払う。更に土砂を満載した鉄製の工事用車輛を持ち上げる膂力の程を見せた。ゴメスが眠っていた大洞窟と、70キロ離れた桐野市の金峰山・洞仙寺の洞窟がつながっており、寺に伝承されている絵巻物や本堂の装飾物にも、リトラとともに過去に出現した痕跡を残している。それはさながら五行説で示される北方の玄武のようであり、またリトラはそれに相対する南方の朱雀のようであった。地底生活が長かった為か、地表に出た当初は足取りの覚束無さが際立つ。先にトンネルの外で孵化し待ち構えていた天敵リトラに奮然と挑み掛かり、空中を自在に飛び回る相手に対して嚇怒、尻尾の一撃で巨鳥を叩き落した。だが嘴の突付きによる猛反撃を受けて、顔面と右目を負傷。弱ったところを唯一の弱点、即ちリトラが口から吐く溶解液・“シトロネラ酸”、これを浴びて悶絶の末に息絶えた。




意匠と造型

 怪獣を、恐竜ならぬ“怪獣”ならしめるものは何か?恐竜と怪獣の両者を截然と分かつ径庭は?

 それはたとえば「火を吐く」など、おおよそ生物の常識を懸隔した超越能力の具備を以ってすれば、恐竜との差別化は容易く遂行されるだろう。ならば外見面にあってはどうか?角やら牙やら爪やらの表徴だけで、果たして絵空事の生物を顕現出来得るのであろうか?角やら牙やら爪やらならば、恐竜は疎か、獣性のシンボルとして現存する既知生物にさえ当該するエレメントなのである。

 ここいらが怪獣意匠の難しいところでもあり、また創造者が己の着意・発想を発露すべく心砕く局面でもあろう。怪獣を創り出すにあたって、単に角・牙・爪や長い尻尾、またウロコなどのアイテムを附帯させるだけで良いものなのだろうか?そもそもそれらは必須なのだろうか?創造者はそこで懊悩し、あれやこれやと試行錯誤、さんざ逡巡するのである。

 さてそこでゴメス。この怪獣におけるデザインにあっては、「匙加減による妙味」などは微塵も窺えない。角やら牙やら爪やら尻尾やらウロコやら...。兎に角装飾の過剰。滅多矢鱈な天こ盛り付け。以前神奈川県は川崎市・武蔵小杉駅駅前で“百億兆”というパチンコ店を見かけた事があるが、何やらそれと同じ俗臭が、このゴメスのゴテゴテから芬々と匂って来そうだ。縦し仮令それが仮想の産物であっても、生物としての風雅や説得性は具わされて然るべきもの。だがゴメスについて何よりも優先されたのは、“有らん限りの最大”という見端であったのだ。

 そういった意味合いにおいては、ゴメスには意匠凝らしが無かったとさえ言えるだろう。唯ひたすら闇雲に「怪獣っぽく」。それだけを意図とされて作られたゴメスは、我武者羅に「らしくあれ」という使命を背負わされた怪獣なのだ。何しろ仰せ付かったのは、シリーズのスタートを飾る大役。いやそれよりも、本邦分野初のテレビ怪獣として、ブラウン管を通してお茶の間に推参すべく放たれた嚆矢であったのだから。


 記念すべき『ウルトラQ』怪獣第一号であるゴメスは、言わずと知れた“怪獣王”ゴジラの縫いぐるみを改造したものである。東宝の『モスラ対ゴジラ』・『三大怪獣 地球最大の決戦』(両方とも1964年)のときに製作・使用されたゴジラ、いわゆる“モスゴジ”の縫いぐるみにデコレーションを施したものだ。正確に記すれば、『モスラ対ゴジラ』の撮影で疲弊し傷んだスーツを『三大怪獣 地球最大の決戦』時に修繕、その流用となるので、まあ“決戦ゴジラ”の改造とでも言おうか。

 頭頂に三日月のように湾曲した鋭利な角(そのプロップは現存)、口には鋭く尖ったセイウチのような牙、両手に特徴的な三本爪を付け、体表にはウロコや毛を纏わせている。更に筋質がむき出しになったような胸板と腹部、側頭後部・腕・尻尾に突起、尻尾の先を二又に裂き、背中には大胆にも甲羅状のものを背負わせて、更にその上にも幾条かの突起の連なりを施した。以上のように過剰なまでの装飾は、まさに“ゴジラ隠し”の一大敢行である。

 しかし昭和スクリーンの名怪獣・ゴジラの雄姿はそれでも隠しようがなく、ゴメスのシルエットはどうあがいてもやはりゴジラだ。前傾姿勢が顕著なモスゴジとこのゴメスを重ね合わせて見ることは、極めて容易であろう。シンプルが故に威風堂々たるゴジラに、凶暴な怪獣の要素である角・牙・爪などをふんだんに盛り込んだ“テレビ向け”怪獣。新シリーズの初っ端を飾るのに、あくまでもキャッチーで“怪獣らしく”あること。ゴメスはそのような使命と命運を持った怪獣なのだ。

 だが偶然がもたらすものは面白く、牙をつけ更に甲羅を背負わせたことで、もうひとつの名怪獣がそこに現われるのである。そう、ガメラだ。「ゴジラ+ガメラ=ゴメス」という計算は、果たして意図としたところなのだろうか?兎にも角にもゴメスは、昭和の二大怪獣すなわちゴジラとガメラを併せたような容貌をお茶の間に顕現させたのだ。

 恐ろしいのは心眼とも言うべき子どもの「見抜く力」で、「縫いぐるみを使い回す」などという台所事情を知らないにも関わらず、昭和当時の子どもたちはゴメスにゴジラの姿を見ていたのである。それまでは映画のもので、そうそうにはお目にかかれなかった憧れの怪獣。そのテレビ進出。必死に喰い入るような眼差しは、洞窟壁画などに見る描写力、すなわち古代狩人の「生きるために」備わった観察力そのものであると言えよう。


 さて「縫いぐるみの使い回わし」だが、当時の円谷プロの台所事情を推し量るものとして興味深い。円谷が専ら頼ったのは、“怪獣もの”の先人であった東宝だ。そもそもがゴジラの生みの親である円谷英一が立ち上げた会社なのだから、この親子関係のような繋がりは当然であったと言えよう。片や映画、そして片やテレビ。お互いの利害関係が侵食し合わないことでも、一致していたのであった。

 そんな訳でまだまだ力不足だった円谷は、兄貴的存在の東宝の力を借り受けるのである。円谷プロの旗揚げでもある『ウルトラQ』・『ウルトラマン』では、このゴメスに限らず、東宝怪獣の縫いぐるみを母体として流用したケースが多く見受けられよう。

 先ずゴメスの対戦相手であるリトラだが、『三大怪獣 地球最大の決戦』(1964年)で使用されたラドンの操演用モデルを第12話登場のラルゲユウスに改造、それを更に再改造したものだ。また第2話登場の巨猿・ゴローは『キングコング対ゴジラ』(1962年)登場のキングコングを改造したものであるし、『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』(1965年)のバラゴンの縫いぐるみが、頭部を挿げ替えてパゴス(第18話)や『ウルトラマン』のネロンガ(第3話)・マグラー(第8話)・ガボラ(第9話)へとさんざん流用されていった話しなどは有名である。そして「怪獣」と言うよりは「巨大生物」としての意匠が強いスダール(第23話)やトドラ(第27話)なんかも、東宝映画で使用されたものを殆んどそのまま流用した例だ。ゴメスの母体となったモスゴジも、その後一旦東宝に返却されるが、再び借り受けエリ巻きを付けて『ウルトラマン』第10話登場のジラースとした。(尤もこの際のゴジラは、1965年の『怪獣大戦争』用に新造された頭部と、モスゴジのボディ・スーツを合体させた物だ)

 以上のように、『ウルトラQ』全般と『ウルトラマン』初期にかけて東宝怪獣の影が見え隠れしていることが、ウルトラ・シリーズ初期における特徴とも言える。また東宝と円谷の両作品を観て、双方の怪獣を準えることも、ファンとしての愉しみ方のひとつだ。


 角、牙、爪、尻尾、ウロコ。「恐竜」ではない「怪獣」の条件を満たす要素を、全て兼ね備えたゴメス。だがそれは却って没個性を招くところであり、記念すべきウルトラ・シリーズの第1回目に登場する怪獣であるにも関わらず、さほど人気が無いのはこのことに起因するのではなかろうか。大胆な特徴のガラモン(第13・16話)やカネゴン(第15話)などの方に、俄然人気が集中するということはつまり、「怪獣らしい怪獣」のダメさを決定的に裏づけている。

 同じことが、『ウルトラマン』のベムラーについても言えよう。凶悪な顔つきに夥しいトゲトゲ、尻尾や全身を覆うウロコなど、爬虫類体型が顕著なベムラーもまた怪獣然とした怪獣である。そして『ウルトラマン』の第1話に登場するのにも関わらず、その人気はバルタン星人(第2話)やレッドキング(第8話)には到底及ばない。

 つまり毎週テレビの中に登場する怪獣に、子どもたちは「如何にも」な怪獣らしさを要求していないのだ。せっかく家に居ながら、毎週テレビで見ることができるのである。直球だけでなく、変化球が欲しい。そういうことなのだ。

 もっと言えば、ゴメスは大人が子どもに与えた「お仕着せ」なのである。「怪獣」の代名詞とも言うべきゴジラをベースに、「如何にも」な要素をこれでもかとばかりにふんだんに盛り込むことによって、大人は見当違いな充足感を得るのだ。「どうだ?怖いだろう。さあ、存分に怖がってくれ」と。

 無論子どもたちは大人の要求に素直に応えた。それまでは映画のものだった怪獣に飢えていたのだから、至極当然な反応だ。しかしその後の「成田亨・高山良策コンビ」による奇抜な怪獣たちの出現に、子どもたちは俄然ガラモンカネゴンに傾くのである。ここで露わになったのは、ゴメスに大人たちが託したものと、そして子どもたちが希求したものの間に、決定的な齟齬があったということだ。

 だがそうは言っても、“直球・ゴメス”を否定するものではない。やはり直球あっての変化球である。シリーズの第1回目に直球を持ってくるのは、真っ当なやり口なのだ。現に「成田・高山コンビ」でさえ、前述したベムラーを『ウルトラマン』第1回目の怪獣として生み出している。先ず本流として「王道」を見せること。然る後に変化球。このバランスに則れば、ゴメスは極めて正道な怪獣なのだ。

 この例で言えばほかに、『帰ってきたウルトラマン』の第1話に登場するアーストロンが挙げられよう。アーストロンもまた、「如何にも」な姿をした怪獣だ。そしてクライマックスではウルトラマンと死闘を繰り広げたのにも関わらず、同じ第1話の冒頭に登場した奇態なタッコングの人気には負けるのである。アーストロンのあまりにもストレートな怪獣っぷり故であろう。

 ところでゴメスとアーストロンは、シルエットは異なるものの、要素的には多くの相似点を見い出せる。頭頂の三日月状の一本角をはじめ、凶悪な面構え、鋭い牙、体表の筋質とウロコのモールド、尻尾など、ゴメスのように怪獣としての要素を当たり前のように身に纏う。また『帰ってきたウルトラマン』は、ウルトラ・シリーズの再出発であった。そこに王道な怪獣を持ってくるのは、やはり真っ当なことなのである。

 “怪獣王”・ゴジラより生み出されたゴメス。そして怪獣の王道を身に纏うベムラー、アーストロン。これら「怪獣らしさ」が顕著な怪獣は、変化球をより魅力的に見せるために、シリーズ第1回目の飾り役としてそのあざとさが必要とされるのである。

骨の髄まで東宝体質

 ゴメスを演じた縫いぐるみ役者は、ゴジラの縫いぐるみ役者でお馴染みの中島春雄だ。つまりゴメスは、シルエットとともに動きもゴジラであったと言えよう。

 その中島は、第18話「虹の卵」に登場するパゴスを演じている。パゴスもやはり、前述したとおり東宝のバラゴンの縫いぐるみを借り受け、改造を施したものだ。

 そして次作『ウルトラマン』において中島が演じた怪獣は、ネロンガ(第3話)、ガボラ(第9話)、ジラース(第10話)、キーラ(第38話)の計4体である。ネロンガガボラは前述のパゴスを更に再改造・再々改造したものであり、つまりその大元はバラゴンということだ。ジラースは見たとおり、ゴジラの改造である。従って中島が演じた『ウルトラQ』・『ウルトラマン』の怪獣のうち、東宝の「息」がかかっていないのはキーラ1体だけということになり、つくづく中島の“東宝体質”が窺い知れよう。




古代の嘶き

 さて外見以外で、ゴメスを特徴付ける要素として、ここでは発する声、つまり鳴き声について触れておきたい。恰も実在する既知動物が嘶いているような、過分なリアルさが印象深い咆哮。果たしてその正体は?

 そうゴメスの鳴き声は、実際に動物園で直接収録されたものなのである。それが果たして何の動物のものなのかは判然としないが、ゾウやらクマやらトラやら、或いはロバなど、兎に角大型の哺乳動物を髣髴とさせる、鼾のようなくぐもった響きだ。そして一頻り哮った後に発せられる「シャッ・シィーッ!」という音は、イノシシやブタなどの鼻息の荒々しさにも似て、先の嘶きと併わせて、全く見事に“古代哺乳類の咆哮”を完遂させていると言えよう。

 『ウルトラQ』ではこのゴメス同様に、実際の動物の生声をそのものの鳴き声として、まんま宛がわれた怪獣が幾つか見受けられる。たとえばゴロー(第2話)の「ウキャッホー!」という吼え声などは、先ず思い付く類例だろう。あれこそは、モチーフとなった“サル”の哮り以外の何物でもない。こういった動物の肉声のものを併用しながら、且つゴジラと同じ擦弦楽器の音を発するゴルゴス(第7話)も登場させ、『ウルトラQ』は見るものを、いや聴くものをその意想外性で吃驚させたのである。映画とは違い、毎週毎週新怪獣を登場させなくてはならなかった『ウルトラQ』。このように怪獣の鳴き声ひとつ取ってみても、スタッフの艱難辛苦の様が窺い知れるというものだ。

 当世でこそ怪獣の鳴き声などは、テクノロジーの発達などもあって、その音源がどうあれ、人為的加工が施されるのが常道である。可笑しな話し、今の時代にゴメスゴローなどの鳴き声を聴いてみると、その生々しさがあまり耳馴れず、却って奇異なものとして伝わって来よう。現生種による現生の吠え声、その再生音であるにも関わらず、だ。その錯聴こそは「怪獣の鳴き声は人工的に創り出す」といった、特撮物の慣行に根差しているのであり、その大元に本邦分野の祖である東宝のゴジラ(1954年~)の咆哮、即ち弦楽器のチェロの音が鳴動しているのである。同時にこの違和が、[怪獣≠現生動物]を体現する傍証とも言えるのだろう。

ゴメス、転身!そして復活!

 ゴメスは第18話「虹の卵」に再登場する予定であった。しかしゴジラの縫いぐるみを東宝に返却せねばならず、代わりに同じ東宝の『フランケンシュタイン対地底怪獣(バラゴン)』(1965年)に登場したバラゴンを借り受けてパゴスを作ったという経緯がある。(バラゴンの縫いぐるみはすぐに返却しなくてもよかったので、その後ネロンガ・ガボラ・マグラーへと改造に改造を重ね変身を遂げてゆくことに)

 『ウルトラQ』の第2クールには当初、第1クールの怪獣の再登場や怪獣同士の戦いを描く「怪獣トーナメント」が企画検討されていた。これの一環としてゴメスは、第18話「虹の卵」で再登場する予定だったのだ。ちなみにこの「怪獣トーナメント」の名残りとして、『ウルトラセブン』でのカプセル怪獣と敵怪獣の戦いにおける善悪の対立に、その片鱗を見ることができよう。


 ウルトラ・シリーズの記念すべきスタートを飾ったゴメスリトラの対峙。この「二足歩行型怪獣対鳥型怪獣」の構図は、ウルトラ・シリーズの“原点回帰”という意味合いでしばしば重用された。

 『ウルトラマン80』(1980-1981年)以降、長らくテレビシリーズから遠ざかること実に15年。まさに“原点回帰”を目指して放映が開始された『ウルトラマンティガ』(1996-1997年)の第1回目は、古代怪獣同士の戦いで幕を明ける。すなわち、超古代怪獣ゴルザと超古代竜メルバの対峙だ。二足歩行型の怪獣の基本型を成すゴルザと、そして翼を持つ鳥型怪獣のメルバ。この対峙が、30年前のゴメスリトラへのオマージュ的投射であることは言うまでもない。

 更に、円谷英二生誕100周年に当たる2001年。いま一度ウルトラを見直す意味合いを込めて、『ウルトラマンコスモス』の放映が開始された。その第1話に登場したリドリアスがリトラの投影ならば、第2話においてリドリアスと対峙したゴルメデは明らかにゴメスの投影である。

 ゴルザとゴルメデ。両怪獣は、時代を超越し語り継がれるウルトラの伝説の中において、まさにその“原点”であるゴメスの転生した姿なのだ。


 1996年のゴルザ、2001年のゴルメデ。しかしそれは飽くまでも、隠喩によって修辞された“非ゴメス”に過ぎない。擬い物、模造品...。だが満を持した2008年。テレビ初お目見えから優に40年以上の星霜を閲して、ウルトラ怪獣第1号は漸うリバイバルの陽の目を見る。仇敵のリトラが一足先に復活を遂げた『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル』(2007年)。その2作目として制作・放映された『ウルトラギャラクシー 大怪獣バトル NEVER ENDING ODYSSEY』の、まさに第1話においての再光来であった。(第2話にも登場)

 さてこの2008年版“新生”ゴメス。Q版のものに比して身体が巨大化(10m→40m)し、準じて相応に膂力もレヴェル・アップ、従って前出種と画する為に名称の後ろに(S)が附帯する。(これは先のリトラも同じ) この“S”が、「スーパー」や「スペシャル」の“S”なのか、将又「ストロング」を指すのかは皆目判然としない。だがこの番組の内容自体、そもそもはアーケード仕様によるカードバトル・ゲームに根差したもの。よって“(S)”の附帯はゲームにおける表記体裁が由来。40年以上も昔の遺物に活路を切り開いた、新たなる価値観の創造とでも言おうか。またこのゲームに必要な専用のカードが、独自の世界観を構築・展開するという性質上、同一種について“ヴァリエーション違い”を匂わせるような潤色は、プレイヤー若しくはコレクターの琴線を振るわせて止まないのである。それこそは、男子諸兄のハートを射抜く“箔”ではなかったか。

 とは言うもののしかしこの“S化”は、背丈合わせの便宜・方便であり、怪獣サイズ統一を目的としたオポチュニティ以外の何物でもない。身長40m台が基本のウルトラヒーロー・シリーズにおいて、登場した怪獣たちも概ねそのスケールで仮想されている。だが巨大ヒーローが不在だった『ウルトラQ』では、怪獣の寸法についての設定付けはまちまち、てんでにバラバラであった。なれば身の丈10mとされたゴメスなどにあっては、バトルする相手怪獣の主流スケール、即ち40m基準に摺り寄せる必要性があったことは言うまでも無かろう。

 捲土重来。2008年の平成の世に再光臨に与ったゴメスは、何とガッツ星人(初出は『ウルトラセブン』第39話だが、劇中の容姿は2006年の映画『ウルトラマンメビウス&ウルトラ兄弟』で登場したもの)に操られるといった境涯で、先ず地底怪獣マグラー(初出は『ウルトラマン』第8話)と激闘を繰り広げる。この『NEVER ENDING~』におけるマグラーも、変な言い回しになるが、「初の再登場」だ。40年以上もの永きの間、再登板の機に恵まれず憂き目に泣いた両者。溌剌たる肉体の躍動が吹き払ったのは、果たして積年の鬱憤ではなかったか。

 更にこの“夢の対決”は、両者より後れて登場した古代怪獣ゴモラ(初出は『ウルトラマン』第26話)の参戦と相俟って、三つ巴の死闘となる。ゴメスマグラー、そしてゴモラと、巨大な体躯がズッテン、ドウッ!殊に[ゴメスゴモラ]の構図こそは、ファンが待ち侘びた古代怪獣同士の対峙と言えよう。尚ゴメスゴモラの雌雄決しは、次回第2話に持ち越される。剰えその第2話にはリトラも馳せ参じ、瞬間[ゴメスリトラ]の“宿命の対決”が再現されるというサービス振りだ。ファンであれば42年目の活写投像の有り様を、是非とも己が網膜に焼き付けておきたいところ。

 ところでこの平成版ゴメスの面構えだが。何よりも先ず、初代に比してやけに濃い眉毛(?)やヒゲ、そして頭髪に目を奪われよう。特にあの『こち亀』の両津を髣髴とさせるゲジゲジ眉毛には、少なからず吃驚を禁じ得ない。尤も「古代の哺乳類」と設定されたゴメスである。爬虫類の如き冷血動物でないのならば、“温もり”を想起させるに相応な発毛があって然るべきもの。獣(けもの)とは、詰まるところ“毛者”ないし“毛物”。新生ゴメスには、そういった生態的機能に来由する外見的顕われを、初代のものより際立たせようとした意向があったのやも知れぬ。何しろ1500万年もの間、地中で眠っていたゴメスを温めるように被嚢していたのは、クマの如き体毛であった筈なのだから。

怪獣誕生

 「ゴメスを倒せ!」制作時の円谷プロの台所事情は、逼迫していたものと思われる。ゴメスの縫いぐるみは前述したとおり東宝から借り受けたゴジラの改造で、対戦相手のリトラも操演用のラドンを流用していることから、予算不足や時間的余裕の無さ、また怪獣デザイン・造形における美術的人材の乏しさも窺い知れるというものだ。

 もともと『UNBALANCE』という番組タイトルで1クール13話分の完成にメドが立った頃、この「ゴメスを倒せ!」は制作区分Fブロック円谷一監督班によって制作された、シナリオナンバー12本目に当たる作品である。この後に路線を「怪獣もの」に変更し2クール15本分の制作が決定するのだが、本エピソードは既に「怪獣もの」としての趣向が顕著であり、おそらくは以降の展開を意識して制作されたものと推測できよう。

 『UNBALANCE』時に制作された13本に登場する怪獣、すなわちジュランモルフォ蝶巨人トドララルゲユウスガメロン怪竜モングラーゴローリトラタランチュラなどは、「怪獣」というよりも既存生物が巨大化した「巨大生物」と言った方が相応しい。僅かにナメゴンとこのゴメスに「怪獣」としての意匠を見るばかりである。

 番組方針が怪獣路線に変更され、脆弱だった美術スタッフを強化するために、前衛美術家である成田亨と高山良策が円谷プロに招かれるのは、これ以降、すなわち第2クール15話分制作時だ。東宝怪獣の縫いぐるみ流用を拒否し、全て一から怪獣デザインを手がけることを条件とした成田亨の存在が無ければ、ペギラ(第4・14話)やガラモン(第13・16話)、そしてカネゴン(第15話)やケムール人(第19話)などの名怪獣たちは生まれ得なかったのである。

 ともあれ、怪獣をゼロから創造するには金銭的・時間的余裕が無かった往時の円谷プロが、それでも採択した英断、すなわち成田・高山を招じ入れ怪獣をデザインから手がけるという制作姿勢は、正解だったと言わざるを得ない。もし先に挙げた13話分の調子で制作を続けていたら、『ウルトラQ』というアンソロジー形式のSFドラマとしての評価はテレビ史に残るが、おそらくはそれだけの話である。40年以上続く名シリーズの祖となり得たかと言えば、それは甚だ疑問だ。

 以上のように、「怪獣」としてのデザイン性に乏しいゴメスリトラの戦いによって幕を開けた『ウルトラQ』。とは言えこの記念すべき第1話が、昭和41年当時の列島を震撼させたことは想像に難くない。大怪獣の脅威、破壊、咆哮、進撃。これをお茶の間で、しかも毎週目撃できるという興奮・狂乱・沸騰の様が、窺い知れるというものだ。それまでは映画のスクリーンの中だけで繰り広げられていた、大怪獣たちの破壊スペクタクル。それをお茶の間に持ち込んだ円谷の、まさに前人未到の暴挙である。そしてその歴史的な第1回目に、怪獣同士の戦いの物語を持ってくることで狙ったのは、やはり「怪獣映画をお茶の間で」ということであろう。

 ちなみに、ゴメスリトラも「古代」に出自を持つ怪獣である。自然の常識枠から外れた存在であるべき「怪獣」の出自については、悠久の時の向こう側に、また人智を超越した宇宙にそれを構えることが少なくない。いや、常套と言ってよいだろう。ゴメスリトラもこれに倣ったもので、古代における因縁の戦いが現代に繰り広げられるという趣向だ。

 後に続くウルトラ・シリーズでは古代怪獣同士による因縁の対決が多く描かれ、また鮮烈なインパクトを見るものに残す。代表例を挙げれば、『ウルトラマン』におけるアボラスバニラの戦い(第19話)、『帰ってきたウルトラマン』のグドン対ツインテール(第5・6話)、そして『ウルトラマンティガ』のゴルザとメルバの対峙(第1話)などである。これら古代怪獣同士の戦いは印象に深く、そしてこのシチュエーションが如何に優れているかを物語るものだ。

 ウルトラ・シリーズの記念すべき第1回目。この脚本を手がけたのは千束北男(飯島敏宏のペンネーム)で、メガホンをとったのは円谷一だ。バルタン星人の生みの親・千束北男の脚本と、円谷の秘蔵っ子・円谷一の監督によって、かくして幕を開けた『ウルトラQ』。混ざり合ったモノクロの絵の具が怪しく回転し、そして“ウルトラQ”の文字に定着したのである。




古代怪獣考

 先の項目でもちょっと触れたが、「古代怪獣」という方便に更にメスを入れてみよう。

 地底(ないし海底)怪獣、宇宙(ないし異次元)怪獣、そして古代怪獣。大まかに別ければ、怪獣は押し並べてこの三種類に属する。もしくは、これら三つの部類に含まれるものの数が圧倒的に多い。地底(海底)怪獣と宇宙(異次元)怪獣については、無論地球と地球外のどちらに棲息する怪獣であるかどうかを、つまり出身が何処であるかを表わしている。地球に出自を置く“地球怪獣”の中で、分けても古代怪獣とはすなわち、その種が隆盛を誇った時期・時代が太古の昔であるということを、つまり時間的出身を示しているのだ。怪獣が何処から来たのか。何時の時代に生まれたのか。端的に言ってこの二点こそが、怪獣を大別する属性の記号なのである。冷凍怪獣だの透明怪獣だの毒ガス怪獣だのいう冠名は、更にそこから細分化され枝分かれした表徴に過ぎない。

 古代怪獣とは、「大昔に生きていた」生物だ。だが実際の古代生物である恐竜とは、明らかに一線を画す。怪獣と恐竜は違うのだ。何が?実在した恐竜に対して、怪獣は言うまでもなく空想の産物である。常識外れな力で以って、現代に甦る古代生物こそが怪獣なのだ。恐竜は永い眠りから醒めたりしない。よってウルトラシリーズでは、例外を除けば恐竜は登場しないのが原則だ。例えば『ウルトラマン』第10話に登場したエリ巻恐竜ジラースや『帰ってきたウルトラマン』第10話の化石怪獣ステゴンなどは、ともに「恐竜」という設定付けがなされているが、「現代に息衝いている」以上、やはり古代怪獣の一種と捉えるべきであろう。ゴメスと同様彼らも「大昔に生きていた」のみならず、「現代でも尚生きている」のである。よって既に終わってしまった「過去完了形」ではなく、「現在完了進行形」で言い回されて然るべきなのだ。


 されそれでは古代怪獣という便宜に対して、ならば“未来怪獣”なり“現代怪獣”なるものは成立するであろうか。古代があるのなら、現代・未来へと考えが及ぶのは至極当然のことだ。未来世界からやって来た怪獣、或いは現代に誕生した怪獣。はてさてその種別分けは如何に?

 先ず未来。これから起こるであろう生態系の変容。それは近未来であればある程度予想の域内であろうが、これが「遥か遠い未来」ならば想像を絶する。桁外れて常識の枠外だ。そんな超越世界から来る怪獣。もちろん設定としては充分有り得るのだが、そのような「知らない」世界からやって来る主は、もはや広大な宇宙空間や異次元世界の住人と同じような人智及ばぬ摩訶不思議で彩られていて然りだ。

 たとえば『ウルトラQ』第19話に登場したケムール人。彼は「2020年の未来から来た」のではなく、飽くまでも「2020年の歴史を持つ世界からやって来た」異世界の住人だ。ケムール人は2020年の超文明を謳うが、人間には2020年以上の歴史の蓄積がある。これに準えば、ケムール人が誇る超文明には説得力が稀薄だ。恐らくは脚本の段階で、A.D.以降を人間の歴史の全てと捉えてしまったのだろう。ともあれ2020年を西暦に置き換えてみれば、『ウルトラQ』放映時から50年以上も先の未来となる。2020年を「遠い未来」と位置付けたことは、先ず間違いない。いずれにせよ未来世界と異世界の混濁が顕著な例として、このケムール人は象徴的である。何十年か先の未来人の姿には、あのような奇態なものも有り得るだろうという示唆だ。“未来怪獣”とは詰まるところ、宇宙怪獣や異次元怪獣の範疇に属すると言ってもよいのかもしれない。

 次に現代怪獣という定義付け。ここで先ず、ゴロー(第2話)やモングラー(第8話)などのように、何らかの原因で巨大化してしまった種類のものを、怪獣とは峻別して考察の外に置いておこう。彼らは飽くまでも、「巨大生物」であるのだから。さて太古に棲息した恐竜たちが誇る「巨体」は、時代が進むに連れて消え失せ、やがてはコンパクトな体躯を持つものに取って代わられた。所謂“適応”の結果だ。途方も無く大きい身体の息衝きは、もはや海洋以外に有り得ない。地上における巨体は、絶えて久しいのである。

 たとえばペギラ(『ウルトラQ』第5・14話)を、“現代怪獣”として採り挙げてみよう。ペギラについては、特に「古代より棲息」といった横顔が無い。したがって、現代に誕生し生きている種としての可能性が大だ。極洋生物を複合させたような容姿を持つペギラは、怪獣である前に生物として極めてリアルである。だが「巨大」という点ではどうだろう?どう考えたって現在の地球上では、有り得ない大きさだ。何故なら、巨躯を保つための食糧問題に行き当たる。ペギラを養うために、一体どれだけの餌が必要か。そんな話は野暮だと重々心得ている。とどのつまり“現代怪獣”とは、無論ペギラに限らず、やはり巨体が生き得た古代の怪獣と考えるのが妥当なようだ。

 以上のように、“未来怪獣”とは宇宙怪獣(ないし異次元怪獣)であり、また“現代怪獣”とは古代怪獣であると位置付けたいのだが、いかがだろう?現在・過去・未来という時間的要素で怪獣を種別するなら、それは「過去」にだけ許容されるものであり、それが度々重用される“古代怪獣”という常套句なのだ。


 『ウルトラQ』の世界では、ゴメスをはじめ、様々な古代怪獣の登場で賑わう。原始怪鳥リトラ(第1話)、古代植物ジュラン(第4話)、古代怪鳥ラルゲユウス(第12話)、地底怪獣パゴス(第18話)、海底原人ラゴン(第20話)、貝獣ゴーガ(第24話)。もちろん次作『ウルトラマン』や後続のシリーズにおいても、古代怪獣の頻出は受け継がれ遵守されてゆく。何故なら、我々人類が「悠久の太古」に無責任的且つ憧憬的に思いを馳せ、結果抽出された不可思議さは、人智律さぬ宇宙のそれと同等の魅力を放つからだ。

 たとえば『ウルトラマン』に登場したゴモラ(第26・27話)。ウルトラ怪獣の中では、“古代怪獣の王”と呼ぶに相応しい英姿を持ち、高い人気は今も尚健在だ。デザイナーの成田亨が好んだ牛がモチーフになっているようだが、半月状の角が描く稜線は戦国武将の兜を髣髴とさせ、どっしり安定感のあるシンプルな怪獣然とした巨躯が特徴的な頭部に準ずる。この姿態、威容。数あるケレン味溢れたどんな別称よりも、中から敢えて“古代怪獣”の名をそのまま冠した来由は、孤高の雄姿が雄弁に物語っていよう。「悠久の時の流れ」が、その姿かたちに威風を刻印した境地がここにある。

 無論ゴメスゴモラのほかに、“古代怪獣”という簡素且つストレートな冠名をもつものは多い。『帰ってきたウルトラマン』のキングザウルス三世(第4話)やツインテール(第5・6話)などなど。また“古代怪鳥”ラルゲユウス(『ウルトラQ』第12話)や“超古代怪獣”ゴルザ(『ウルトラマンティガ』第1話)などのように、「古代」だけをキーワードとして挙げ連ねてみれば、これはもう枚挙に暇が無いほどだ。遥か古における謎と力を引っ提げて、怪獣たちは時を越えやって来るのである。

 だが“古代怪獣”のエンブレムは恐れ多い。“宇宙怪獣”や“地底怪獣”同様に、怪獣の別名分野においては、王道中の王道だ。「凡庸だから」などという思い込みで、迂闊に冠したりすれば、「名前負け」という手痛い竹箆返しを見舞われることになる。そういった意味においては、ゴモラゴメスのほかに、前掲のキングザウルス三世を“古代怪獣”の成功例として挙げるばかりであろう。四足歩行スタイルの恐竜体型は、オーソドックスだからこそ古代怪獣の名が相応しく、飾り気の無さが却ってウルトラマンを一敗地に塗れさせた説得力を帯びている。(ツインテールについては、その特異な容姿から発想を展開させて、もっともらしい個性的な冠が欲しかったところ) 極めて私見になるが、このほかの“古代怪獣”の成功を私は知らない。“古代”に託された神性は、鄭重に扱うべきなのだ。

 古代というものについて100%の解明が成されない限り、大昔には無限の可能性が有る。いや、有ってもよいのだ。太古が秘める底知れぬ常識外れ。それを纏う古代怪獣。恐竜のように絶滅したりしない「不滅さ」こそが、古代怪獣の正体なのかもしれない。


記念碑的作品を彩った脇役たち

 ここでは「ゴメスを倒せ!」に登場した脇役に目を向けてみよう。

 先ずは東海弾丸道路建設作業員の中に、山本廉というバイプレイヤーが確認できる。その特徴ある顔つきは、『ウルトラマン』第11話「宇宙から来た暴れん坊」でギャンゴを生み出す悪人・鬼田や、『ウルトラセブン』第10話「怪しい隣人」における怪しい隣人(実はイカルス星人)の怪演でお馴染みだ。ほかに山本は、『ウルトラマン』第30話「まぼろしの雪山」では猟師役を、『ウルトラセブン』第25話「零下140度の対決」では動力班・ムカイ班長役を演じているので、一度確かめてみるのもいいかもしれない。

 そして見逃してならないのは、何と言っても大村千吉だ。本エピソードの中では、錯乱したアル中の建設作業員として出演している。大村にとって「精神錯乱」と「泥酔」は切り離せない要素であり、『ウルトラマン』第29話「地底への挑戦」では黄金に執着する錯乱坑夫役を、そして『ウルトラセブン』第2話「緑の恐怖」ではワイアール星人に襲われる酔漢役を演じた。大村による「狂気」の演技はある意味ウルトラ原体験であるのだが、何と言っても彼の圧巻は、同じ円谷作品『怪奇大作戦』第24話「狂気人間」における、まさに“狂気人間”そのものの役柄であろう。ビルドアップされた肉体美をさらし日本刀を振り回す大村の狂気振りは、TBSの『日本の吸血鬼を求めて』という猟奇実話を集めた特番において、自分の娘を切り刻んで神棚に供えた男の再現フィルムでも見られる。










ウルトラ 場外 ファイト

 それにしても何故“ゴメス”なのだろう?スペイン語圏における男性の一般的な名前、若しくは姓である筈の「Gomez」。怪獣の名付けにあって、どんな来由でそのようなラテン系人名を持って来たのであろうか?

 たとえば同じ“ゴメス”の名を持つものに、『仮面ライダー』の“アブゴメス”(第71話)がある。これなどは、スペイン語圏であるメキシコ出身の虻(アブ)怪人ということで、その名の整合性が認められよう。“ゴメス”が本来持つ意味合いが真っ当に汲み取られ、正当に使われた事例である。

 だが単に“ゴメス”。スペイン出身でもなければ、中南米に所縁が有る訳ではない古代怪獣。初めに学名“ゴメテウス”有りきなのかどうかは判然としないが、兎に角“ゴメス”。なるほど確かに怪獣らしい響きでもあるが、何はともあれラテン系の名前。無論幼少の砌は、怪獣の名として馴れ親しんだものだが、歳月を経て、これがスペインや中南米に多い人名だと認知して以来、違和と疑問は募る一方である。果たして何故“ゴメス”なのか?




































ウルトラ 場外 ファイト

 “モスゴジ”から“決戦ゴジ”への修復の際、特に頭部内臓機械メンテナンスによって、頬のコブのラインに変容を来たしている。“決戦ゴジ”やゴメスの面相が、“モスゴジ”特有の悪者然とした面構えより幾分“優しめ”に見えるのは、そのような理由に因るものだ。

 尚、“モスゴジ”から“決戦ゴジ”への修補、そしてゴメスへの改造作業と、これら全て東宝特美による仕事である。




























ウルトラ 場外 ファイト

東宝が加担したウルトラ怪獣

  • 『ウルトラQ』
    ゴメス(第1話)

    ゴジラ
    ・・
    『モスラゴジラ』
    三大怪獣地球最大の決戦』
    (1964年)
    リトラ(第1話)

    操演用ラドン
    ・・
    三大怪獣地球最大の決戦』
    (1964年)
    ゴロー(第2話)

    キングコング
    ・・
    『キングコングゴジラ』
    (1962年)
    ナメゴン(第3話)

    モスラ幼虫の動力部
    ・・
    『モスラゴジラ』
    三大怪獣地球最大の決戦』
    (1964年)
    ガメロン(第6話)

    海ガメ
    ・・
    東宝特美造形が
    催事用に製作したもの。
    怪竜(第6話)

    マンダ
    ・・
    『海底軍艦』(1963年)
    モングラー(第8話)

    東宝特美が製作。
    タランチュラ(第9話)

    東宝特美製作。
    ラルゲユウス(第12話)

    操演用ラドン
    ・・
    三大怪獣地球最大の決戦』
    (1964年)
    パゴス(第18話)

    バラゴン
    ・・
    『フランケンシュタイン
    地底怪獣』
    (1965年)
    スダール(第23話)

    大ダコ
    ・・
    『フランケンシュタイン
    地底怪獣』
    海外版(1965年)
    トドラ(第27話)

    マグマ
    ・・
    『妖星ゴラス』
    (1962年)
  • 『ウルトラマン』
    ネロンガ(第3話)

    バラゴン
    ・・
    『フランケンシュタイン
    地底怪獣』
    (1965年)
    マグラー(第8話)

    バラゴン
    ・・
    『フランケンシュタイン
    地底怪獣』
    (1965年)
    ガボラ(第9話)

    バラゴン
    ・・
    『フランケンシュタイン
    地底怪獣』
    (1965年)
    ジラース(第10話)

    ゴジラ
    ・・
    『モスラゴジラ』
    三大怪獣地球最大の決戦』
    (1964年)





















































ウルトラ 場外 ファイト

中島春雄の
 ウルトラファイト!

  • 『ウルトラQ』
    ◆第1話
     「ゴメスを倒せ!」:
    ゴジラを改造した
    ゴメス役。
    ◆第8話
     「甘い蜜の恐怖」:
    田舎県警の隊長役。
    ◆第18話
     「虹の卵」:
    バラゴンを改造した
    パゴス役。
  • 『ウルトラマン』
    ◆第3話
     「科特隊出撃せよ」:
    バラゴンとパゴスを経た
    ネロンガ役。
    ◆第9話
     「電光石火作戦」:
    バラゴン・スーツの
    締め括りである
    ガボラ役。
    ◆第10話
     「謎の恐竜基地」:
    これまたゴジラ改造怪獣の
    ジラース役。
    ◆第25話
     「怪彗星ツイフォン」:
    ター坊の父ちゃん役。
    ◆第33話
     「禁じられた言葉」:
    巨大フジ隊員に向けて
    発砲した
    警官隊隊長役。
    ◆第38話
     「宇宙船救助命令」:
    中島初の
    ウルトラ生え抜き怪獣
    キーラ役。
  • 『ウルトラセブン』
    ◆第17話
     「地底Go!Go!Go!」:
    ロボットの
    無感情な動きを見せた
    ユートム役。

以上だが中島の面白いところは、怪獣だけではなくときには素顔を出して出演しているところだ。その中でも圧巻なのは、『ウルトラマン』第33話「禁じられた言葉」での警官役としてのセリフである。巨大化したフジ隊員に向かって発砲しようとして制され、怪獣役者である中島が「怪獣も同然です!」と言っているのだ。裏事情を知っていれば、なかなか面白味のあるひとコマである。




























































































































ウルトラ 場外 ファイト

UNBALANCE』時に
制作された13本を
シナリオナンバー順に
並べてみよう。
尚、カッコ内は放映話数を表わす。
  • No. 1「マンモスフラワー」 (第4話)
  • No. 2 「変身」     (第22話)
  • No. 3 「悪魔ッ子」  (第25話)
  • No. 4 「206便消滅す」(第27話)
  • No. 5「宇宙からの贈りもの(第3話)
  • No. 6 「あけてくれ!」(第28話)
  • No. 7 「鳥を見た」  (第12話)
  • No. 8 「育てよ!カメ」 (第6話)
  • No. 9 「1/8計画」   (第17話)
  • No.10「甘い蜜の恐怖」   (第8話)
  • No.11 「五郎とゴロー」(第2話)
  • No.12「ゴメスを倒せ!」 (第1話)
  • No.13 「クモ男爵」   (第9話)




















ウルトラ 場外 ファイト

遥か悠久の時を越えて
現代に甦った古代怪獣。

『ウルトラQ』における
古代の咆哮!
◆ゴメス(第1話):
約1500万年前に棲息した
肉食の哺乳類。
◆リトラ(第1話):
ゴメスと同じ
新生代第三紀に棲息した
鳥類と爬虫類の
中間生物。
◆ジュラン(第4話):
「生物がみな巨大だった」
太古の植物。
◆ラルゲユウス(第12話):
第3氷期以前に棲息した
鳥の先祖。
◆パゴス(第18話):
中生代に
アジア大陸に棲息した
原始動物が
ウランで巨大化。
◆ラゴン(第20話):
約2億年前に
地球を支配していた
海底の原人。
◆ゴーガ(第24話):
6000年前に
アランカ帝国を
一夜で滅ぼした
巨大カタツムリ。







































トンネル,隧道,tunnel










































ウルトラ 場外 ファイト

「古代」やら「原始」やら。
“大昔”を声高に謳う怪獣
オンパレード!
2代目や再登場などは割愛

  • 『ウルトラQ』
    ◆第1話:ゴメス
    古代怪獣
    ◆第1話:リトラ
    原始怪鳥
    ◆第4話:ジュラン
    古代植物
    ◆第12話:ラルゲユウス
    古代怪鳥
    ◆第20話:ラゴン
    →海底
  • 『ウルトラマン』
    ◆第26・27話:ゴモラ
    古代怪獣
    『ウルトラセブン』
    ◆第42話:ノンマルト
    →地球
  • 『帰ってきたウルトラマン』
    ◆第4話:キングザウルス三世
    古代怪獣
    ◆第5・6話:ツインテール
    古代怪獣
    ◆第9話:ダンガー
    古代怪獣
    ◆第16・17話:テロチルス
    始祖怪鳥
    ◆第43話:コダイゴン
    →魔神怪獣
    ◆第50話:キングボックル
    原始地底人
  • 『ウルトラマンA』
    ◆第2話:カメレキング
    古代超獣
    ◆第25話:スフィンクス
    古代超獣
    ◆第25話:オリオン星人
    古代星人
  • 『ザ☆ウルトラマン』
    ◆第16話:キングモア
    古代怪鳥
  • 『ウルトラマンG』
    ◆第2話:ギガザウルス
    古代怪獣
  • 『ウルトラQ・ザ・ムービー
              星の伝説』
    ◆ナギラ
    古代神獣
  • 『ウルトラマンティガ』
    ◆第1話:ゴルザ
    →超古代怪獣
    ◆第1話:メルバ
    →超古代
    ◆第39話:ガルラ
    →超古代怪獣
    ◆第44話:ガーディー
    →超古代狛犬怪獣
    ◆第45話:ギジェラ
    →超古代植物
    ◆第50-52話:ゾイガー
    →超古代先兵怪獣
    ◆外伝:クラヤミノオロチ
    古代怪竜
  • 『ウルトラマンガイア』
    ◆第35話:アルゴナ
    古代怪獣
  • 『ウルトラマンコスモス』
    ◆第2話:ゴルメデ
    古代暴獣
    ◆第13・14話:ガルバス
    古代怪獣
    ◆第34話:レイキュラ
    古代海神
    ◆第62話:ドルバ
    古代怪獣
  • 『ウルトラマンマックス』
    ◆第3話:レギーラ
    古代怪鳥
    ◆第17話:エラーガ
    →宇宙古代怪獣










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1500万年前に棲息した凶暴な肉食哺乳類























角、牙、爪...怪獣よ、息衝け!
















ゴメスは“モスゴジ”の改造である













ゴジラ+ガメラ=ゴメス?







円谷プロと東宝を結ぶもの






東宝生まれのウルトラ怪獣













“直球”怪獣は、“変化球”怪獣に負ける



















それでも第1話には、「王道」が必要だ















中島春雄は東宝体質



















“生”の蛮声轟かすQ怪獣












ゴメスは第18話で再登板の予定があった













「ゴメス対リトラ」は、シリーズを超越する










































Super!Special!Strong!42年目の(S)、推参!







































第2クール以降の英断が、名怪獣を生んだ


テレビの中の怪獣に、列島が沸騰した








古代怪獣同士の戦いというシチュエーション





























現代を生きる以上、もはや恐竜ではない






























怪獣の未来像、そして現代において有るべき姿とは
















威風堂々たる古代怪獣王














悠久の時の向こうに思いを馳せ...
















想像を凌駕する異形に、大村は錯乱する


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